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2010.04.21(Wed)


涙の向こう側にいたのはまぎれもなく君


「一緒に死んでくれないか」
そう私に言ったのはクラスでは人気者で通っている辻だった。
「え」
「お前だってこんな現実に絶望してるんだろう?なら、

一緒に死んでくれないか」

その台詞に似つかわしくない笑顔で辻はそう言い放った。
私は少し不気味に思いながらも変な気持ちになった。

「あたしは別に、絶望なんかしてないよ」

下を向いてそう言えば、辻は少し悲しそうな顔をして、また笑った。
なんだかその笑顔が消えてしまいそうで私は怖くなる。

「そっ、か」

変な事言ってごめん、とさっきの笑顔のまま辻は言う。

「辻、あんたほんとに死ぬつもりなの?」

冗談でしょう?
そう言いたかったけれど。

「しなないよ。ただ、ちょっと言ってみたかっただけ」
「・・・そう。なら、いいんだけど」
「変な事言ってごめんな、ほんと」
「別にいいよ。あんたと話したの、今日がはじめてだし」
「ははっ、そうだな。んじゃあ、また明日」
「また明日」

なんてことない普通の会話。
辻は笑っている。
いつもと同じ笑顔だ。へらへらしながら自分の気持ちを押し殺している。

「辻」
「なんだよ?」
「あたしでよければ、いつでも一緒に死んであげるから」

辻が吃驚した顔をしてこっちを見ている。
その顔があまりにも切なくて、涙が出そうになる。

「なに、いってんだよ」
「だって辻、死ぬつもりなんでしょ?」
「あれは冗談だってさっき言っただろ」
「じゃあなんで辻は泣いてんの」

目を見開いて私を辻の瞳が映す。ああ、なんて綺麗な涙なんだろう。
辻はクラスの人気者っていう生贄に自ら進んでなったのだ。
自分の好きな事は出来ない。自分の言いたい事は言えない。
みんなの我侭に振り回され、聞きたくもない自慢話に耳を貸さなければいけなくなった。
自分がその位置につけば、誰も傷つかずにすむって、辻は知ってたから。

「俺は、泣いてないよ」
「嘘つかないでよ」
「泣いてないって、言ってるだろ!」

悲痛な叫びが胸を刺す。
辻がどんどん傷ついていく気がした。
凶器と化したクラスメイトがぐさぐさと辻に突き刺さるんだ。
辻からはたくさんの出血。辻の心がどんどん蝕まれていく。

気がついたら、涙があふれていた。
辻はあこがれのクラスメイトではなかった。
頼れる人気者でもなかった。
そこにいるのは、ただの辻だった。
人気者でもなく、あこがれのクラスメイトでもない、ただの辻。
たったそれだけのことなのに、どうしてこんなにも悲しいんだろう。
誰も本当の辻を見てくれないんだ。どうして?
だって辻はこんなにも苦しんでいるのに。
どうして私は辻に何もしてあげられないんだろう。

「辻、生きてよ」
「お前、残酷なこと言うんだな」

そんなこと百も承知だよ。

「だってあたし、辻のこと好きだから。好きな人には生きていてほしいって、思うだもん」
「・・・」

辻の目は伏せられたまま。
夕暮れに染まる教室内で二人きり。
世界まで辻を殺す気だろうか。

「俺は人気者になんてなりたくなかった」
「知ってた」
「ただのクラスメイトでいたかったんだ」
「あたしたちが、君を人気者という生贄にしてしまったから」
「だから俺は死ななければならない」
「もう、何を言っても遅いんだね」
「ああ」
「そっか、」

がたん、と私は席から立つ。
世界の終末みたいな夕焼けが私たちを照らしている。
辻はもう笑ってくれない。

「辻、好きだよ」
「俺も、お前のこと好きだったと思う」
「なにそれ。過去形?」
「うん。だって俺、もう死んじゃうから」

そんな悲しそうな顔で言わないで

「ねえ辻」
「なに」
「一緒に、死のうか」

そして世界はループする。
私と辻がいなくたって、世界は廻るのだ。

辻は一瞬驚いた顔をして、すぐに世界で一番うつくしく笑った。
私は辻の手を握る。
これでもう、離れることなんてない。

大好きな辻に
私のこの命を捧げよう
だから辻も
その命を私に捧げて頂戴

二人ならきっと、怖くなんてないよ

「ありがとうな」
「うん」
「それとさ、」
「なに?」

「あいしてる」

不意打ちのように辻が言った。

「・・・あたしも、あいしてるよ」
「おう」

夕焼けの赤の中で私たちは最初で最後のキスをした。
もう離れないように手を強く握った。
世界が嘘みたいにうつくしく見えてしまう。
時が止まればいいのに。
辻が笑う。
だから私も笑うんだ。


また会うときがあれば、声をかけてね


最後の台詞はあまりにも陳腐で
飛び降りた屋上からの景色があまりにも綺麗で涙が出た。
宙に浮く世界の中、辻が私を抱きしめた気がして、

「つ、じ」

目がさめたらあたしのそばで笑ってよ
そう言って静かに目を閉じた

次の夜明けが来るまで、あとどれくらいだろう?
もしかしたら、もう一生こないかもしれない。
それでもいいや。
辻がここにいてくれれば。
だいすきだよ、辻。あいしてるよ、辻。
私は君と一緒に死ねて、幸せだったと思う。


落下していく
辻の体温が私を包み込んでいる
なんて幸せな最期なんだろうか
思わず涙が出てしまうよ

だいすき、

辻の胸の中で呟いた声は音にならないまま、辻の中へ消え失せた。








気がつけばこんな話ばっか書いてる気がする^p^
少しでも切ない感じが伝われば、嬉しいです。

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